3月 022013
NERVE:ジョジョ・
写真提供:NERVE
青山 月見ル君想フ 2012年6月25日
原始、音楽はコミュニケーション・ツールとして、踊りと密接に結びついていた。ダンスミュージックだったジャズなどが鑑賞音楽となった今、人々が躍るのはエレクトロニックミュージックだ。
ドラマー、ジョジョ・メイヤー率いる「NERVE」は、エレクトロニックミュージックを解析し、そのテクスチャーとリズムを即興によるライブ演奏で再構築する。彼らの「リバースエンジニアリング」とインプロヴィゼーションは、音楽本来の意味を取り戻し、人間が機械にとってかわられない未来を「今」創ることでもある。
マシンより正確にビートを刻む「ドラムの神」ジョジョのサウンドには、デジタル音ならば虚空である0と1の間に、メッセージと感情、人間の危うさが詰まっている。マシンより正確にビートを刻むジョジョの叩き出す音が、鋭利な矢となって解き放たれ、そこにキーボードの中村のメロディが絡み、ジョンのベースラインが背景を支える。約束のない空間がビートという時間軸を中心に、瞬間瞬間の彼らのコミュニケーションによって満たされる。攻撃的なサウンドに、未来への不安と過去への後悔という枷が外され、体が揺れる。意味を考えることを諦め、空間に身を任せる恐怖に降伏した先に至福の体感がある。NERVEの音は一切の抑制と闘い自由になるためのWEAPON、覚醒への起爆剤だ。